【革へのこだわり】”ハーマンオークレザー”について
当店では、「ハーマンオークレザー」と呼ばれる種類の牛革に独自の染色加工を施したものをベルト製作に使用しています。ただし、買ってきた革をそのまま使うわけではありません。いくつかの工程を経て、当店「オリジナル」の革に加工した上で製品への加工に使用しています。
【ハーマンオークレザーとは】
“STUDS WATCH STRAP”等のメインレザーとして使用しているハーマンオークレザー。この革は1881年に創業したアメリカの老舗タンナーである「ハーマンオーク社」で作られる革で、米国原産ステアハイド原皮をオークバーク(樫科植物の樹皮)由来のタンニンでじっくりと鞣して作られる、一言でいえば「大変品質の良いヌメ革」です。
この革は繊維が密に詰まっており硬くコシがあるのが特徴で、当店が腕時計に求める”耐久性”と”コバ(断面)の美しさ”を兼ね備え、良質な経年変化も望めます。またやや安直ですが、アメリカンカルチャーであるスタッズアイテムには、やはりアメリカの革を!という私自身の想いもありました。
【独自の染色加工について】
実はこのツーリングレザー、元々の色は左上の革のような「ナチュラル色」ですので、当店ではこれに独自の染色加工を施した上でベルトの製作に使用しています。
ただし一言で「染色」と言っても様々な工程があり、革に「色」以外にも付加効果を与えながら仕上げていきますので、次に簡単にその工程をご紹介します。
①オイルアップ
まず染色を行う前に下処理として革にオイルを塗りこみます。このオイルによって、革に必要な油分や柔軟性を与えるだけでなく、次の段階で行う染色加工の際に必要以上に革の内部まで染色するのを防ぐことができます。なお革が傷む理由の多くは”油分の不足”ですので、オイルアップは永く使う為にも大事な工程です。
②染色(ブラック)
“STUDS WATCH STRAP”は、飴色のコバ(断面)を特徴の一つとしていますので、革は表面のみが染まっている所謂「丘染め」のものを使用する必要があります。そのため染色の際には中まで染めることが無いよう、薄く何度も塗り重ねて、表面に薄い膜のような黒を作っていきます。
③色止め・防汚加工
続いて、使用する中で色落ちが発生しないように「色止め」の薬剤を塗っていきます。なおこの薬剤は革表面に薄い膜を形成しますので、防汚効果もあります。
④ワックス処理
最後にワックスで表面を磨くことで、革の表面がより滑らかになり、光沢も自然な印象に落ち着きます。またこのワックス成分によって雨や水にも強くなります。腕時計ベルトは必然的に雨や汗などの外環境にさらされるものなので、この工程が非常に重要です。
ここまでの工程を経て、ようやく次にベルトへの加工(まずは裁断ですね)に移ることができます!
もちろん初めから染色されたレザーを仕入れて使えば(そういった革の良さも勿論あります)、もっと簡単にベルトの製作ができます。しかし様々な革を試してみましたが、当店の ベルトにはこのオリジナルのハーマンオークレザーが合っているとの結論に至り、採用しています。
是非お手元でこの革とスタッズの相性の良さを実感して頂ければ幸いです!