【STUDS WATCH STRAP】について
FLANGE STRAPのブログをご覧頂きありがとうございます!
今回は、当店を代表する商品【STUDS WATCH STRAP】についてご紹介します。
『ABOUTページ』でも書かせて頂きましたが、当店が目指すのは、『高いデザイン性と機能性を持った”語れる”腕時計ベルト』で、そんなベルトを作るために欠かせないのが、手間と時間を惜しまない「手仕事」です。
革製品の中でも特に小さい部類に入る腕時計ベルトですが、その製作には、革の選定から始まり、染色・裁断・接着・縫製・装飾・仕上げ、、、と実に多くの工程があります。
当店ではそのすべてを1人の職人が担っており、一つ一つの工程に最大限の技術と知識を投入して製作しています。今回は、【STUDS WATCH STRAP】を生み出す過程の大事な「手仕事」を3つ、ご紹介させて頂きます。
①スタッズ装飾
当店のアイデンティティとも言えるスタッズ装飾。アメリカの伝統的な革装飾技法で、腰ベルトや財布などではよく見られるデザインですが、『腕時計用のスタッズベルト』というのは、スタッズ好きな方でも見たことがないという人が殆どではないでしょうか?私自身もスタッズが大好きですが見たことがありませんでした。
なぜなら、腕時計ベルトはスタッズを打てる面積がとても小さいため加工自体の難易度が高いことと、お客様一人一人異なる様々な時計に対応できるだけの腕時計の知識(アップルウォッチ等デバイス含め)がないと、それをサービス(商売)としてやっていくのは難しいからだと思います。(その点、私は「元時計屋」ですので、安心してご相談いただければと思います。)
ではどのようにスタッズベルトを作っているかというと、これまた非常にアナログな方法です。
途中まで組み立て・縫製を行った状態のベルトに、
①スタッズを打つ穴をあけて、②スタッズの先端(爪)を穴に突き刺し、③ハンマーで打って固定
この工程を繰り返します。
こう書くと簡単な感じもしますが、0.1mmでもスタッズがずれると隣のスタッズに干渉したり反対に隙間が大きく開いてしまったりするため、緻密に計算されたオリジナルのパターンをもとに、革の厚みや伸縮も考慮しながら一つ一つ細心の注意を払ってスタッズを打ち込んでいきます。(全工程で一番骨が折れます 笑)
それと、腰ベルト等とは違い腕時計ベルトは裏面が肌にあたる為、スタッズの爪が裏に出ないようレザーを張り合わせて仕立てており、このレザーには革のダイヤモンドとも称される「コードバン」を使用しています。
このコードバンは顔料でコーティングされており防水性を備えるので、雨や汗にさらされる腕時計ベルトに大変適しています。(詳しくはこちらのブログでご紹介しています。)
②コバの蜜蝋仕上げ
「コバ」とは、革を貼り合わせた端の断面のこと(上の写真でいう飴色の部分)で、このコバを仕上げることを「コバ処理」といい、4枚の革を張り合わせて立体的に製作する当店のベルトには欠かせない工程です。このコバ処理方法にはいくつも種類がありますが、当店で採用するのは『蜜蝋仕上げ』という手仕事ならではのコバ処理方法です。
ちなみにこちらが、包丁で裁断した直後の未処理のコバ。いかにも革の断面という感じで層が目立ちますし、革が柔らかく汚れや水分も吸収してしまうのでこのままではベルトでの使用に向きません。
コバ処理は、①やすりで研磨する ②コバ処理液で固める ③蜜蝋(自然由来のワックス)を熱で溶かし入れる この①~③を数回繰り返すことで行います。
一つ一つが非常に手間と時間がかかる工程ですが、こうすることで美しい艶を持ち、固く劣化にも強い、腕時計ベルトにとって理想のコバが生まれます。(なおコバを黒にする場合は、その過程で染料をさして黒く手染めしています)
③立体成型
【STAUDS WATCH STRAP】を初めて着用した瞬間から最高の着用感を感じて頂くため、ベルトが腕にフィットするよう立体的に仕立てています。接着/縫製/スタッズ打ち込みの各工程で、職人がベルトの厚みとカーブのバランスを見ながら手作業で立体的に成型していくため、量産品では実現不可能な仕立てであるといえます。
市販のベルトのような真っ直ぐなベルトも、使用するうちに腕に沿って曲がっていきますが、当然革に負荷がかかりますので傷みが早くなります。一方当店では、完成後に力をかけてベルトを曲げるのではなく、組み立ての段階から立体的に仕立てていきますので、革に負担をかけずに形状を作り出すことができ、これが着用感の良さや耐久性に繋がっています。
以上、当店のベルトの特徴をいくつか紹介させて頂きました。他にも沢山こだわりはございますので、また別の機会にご紹介できればと思います!